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お知らせ
「脱炭素」勉強ブログ Vol.7
2022/02/09
省エネプラスがお届けする「脱炭素」情報
第7回 これから「脱炭素」はどう進む?日本の方針と政策は?③
「脱炭素」という潮流に対しこれから日本がどう向き合っていくかの予測を、方針や制度の観点から見てきました。
今回は、気候変動の悪影響を回避するための国際的な取り組みを話し合う「国連気候変動枠組条約第26回締約会議(COP26)」の結果を簡単におさらいし、
それらが私たちの住む日本にどのような影響を与えていくのかを分析、予測していきたいと思います。(ブログ執筆R3.11)
COP26の主な成果
求められる「脱炭素」へのシフト
2015年に採択されたパリ協定では、気温上昇幅を2.0℃を十分下回る事を目標とし、さらに1.5℃に抑える努力をすべきとされましたが、
それ以降世界の気運としては2.0℃までの上昇を許容していると甚大な悪影響を免れる事はできない、という意識が高まりました。
国連環境計画の発表によると、各国が見直した最新の2030年目標を達成したとしても世界の平均気温は今世紀末までに少なくても2.7℃上昇する見通しであるとし、
気候変動対策の更なる強化を求めています。
そんな気運を受けてイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26は、どうしたら1.5℃に近づけられるかが焦点となりました。
COP26における合意
COP26で採択に盛り込まれた合意は主に下記の項目になると思います。
①グラスゴー気候合意:1.5℃目標を公式文書に明記
②世界で取り組むための資金:先進国から途上国への資金支援の議論の強化
③パリ協定第6条実施のためのルールの整備:途上国支援の排出削減枠の一部が削減分としてカウント
④目標の宣言:各国リーダーの宣言と多様な有志連合による宣言
現在、各国の削減目標を足し合わせても1.5℃には不十分なのですが石炭、自動車、森林などの有志連合の自発的な声明がすべて実現すれば
2.0℃を下回る可能性が見えてきました。
気候変動対策に対する各国の思想
COP26での宣言をもとに、各国は一気に脱炭素社会の実現に向けての努力を加速していく事になりました。
各産業においても脱炭素をキーワードにした一企業に求められる努力は、一年前とは比べ物にならないものになっていくでしょう。
そしてそれは、各国各地域の思惑と重なり、脱炭素時代の新たな競争を生み出していくことになっていくでしょう。
欧州の思惑
再生可能エネルギー比率が既に高い欧州は石炭火力の徹底排除をはじめ、既に強い産業となっている洋上風力で世界市場を狙っている。またEVをはじめとする蓄電池でも主導権を握ろうと欧州企業に限らず、他国企業も補助や優遇措置で域内に積極誘致。欧州を蓄電池の生産拠点にするという構想を着実に進めている。
米国の思惑
国際環境対策へのコミット面とを疑問視されたトランプ政策を覆し、COP26においても世界の二酸化炭素の排出量シェアの最も大きい二国である
アメリカと中国は共同声明を発表し、アメリカが世界の環境対策の舞台裏へ復活し、環境対策でも強いリーダーシップを発揮していく事を示している。
国内におけるインフラ政策においても環境問題に対応した大規模なアップグレードを実施していく法案を可決するなど、
スピード感を持った施策によって他国への影響も強めていく姿勢を示している。
中国の思惑
太陽光発電・風力発電の導入量、太陽光パネルの製造量は世界一。太陽光パネル/風力/原子力の3本柱、そして世界最大の自動車市場をもって存在感を強めたい考え。
但しひっ迫する電力危機や石炭を輸入依存している背景もあり、脱炭素・気候変動対策には本音はNOのところも。
またCOP26においても、自国の都合に合わせて「途上国」という立場も取っている。
日本の思惑
グリーン成長戦略を打ち出し、脱炭素を実現しながらコロナ禍からの経済復興・成長をしていくという方針を示している。
但し、風力発電や水素などは現状イノベーション頼みであり、2030年までは省エネ、太陽光、原子力、電化が実質的な柱となる気配。
ただ、国としても予算措置や規制、金融枠組みによる包括的な支援を実施し、民間企業の積極的な取り組みと成長を促し、
経済成長と環境の好循環を構築する姿勢を示している。
「脱炭素」は新たな競争市場へ
気候変動に対する取組として脱炭素は加速していくでしょう。各国の思惑と事情が重なり脱炭素は新たな競争市場へと変容していく事が予測されます。
これは「国益」をかけた新たな「産業革命」と捉える視点もあります。
2021年には一気に「脱炭素」という言葉が浸透したように思います。これから2020年代後半のに向けて様々な変化が起きていくでしょう。
今からどのような取り組みで2030年に向かうのか、待ったなしの時期がきているのかもしれません。
次回:「脱炭素」が与える中小企業への影響は?① を予定。
第7回 これから「脱炭素」はどう進む?日本の方針と政策は?③
「脱炭素」という潮流に対しこれから日本がどう向き合っていくかの予測を、方針や制度の観点から見てきました。
今回は、気候変動の悪影響を回避するための国際的な取り組みを話し合う「国連気候変動枠組条約第26回締約会議(COP26)」の結果を簡単におさらいし、
それらが私たちの住む日本にどのような影響を与えていくのかを分析、予測していきたいと思います。(ブログ執筆R3.11)
COP26の主な成果
求められる「脱炭素」へのシフト
2015年に採択されたパリ協定では、気温上昇幅を2.0℃を十分下回る事を目標とし、さらに1.5℃に抑える努力をすべきとされましたが、
それ以降世界の気運としては2.0℃までの上昇を許容していると甚大な悪影響を免れる事はできない、という意識が高まりました。
国連環境計画の発表によると、各国が見直した最新の2030年目標を達成したとしても世界の平均気温は今世紀末までに少なくても2.7℃上昇する見通しであるとし、
気候変動対策の更なる強化を求めています。
そんな気運を受けてイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26は、どうしたら1.5℃に近づけられるかが焦点となりました。
COP26における合意
COP26で採択に盛り込まれた合意は主に下記の項目になると思います。
①グラスゴー気候合意:1.5℃目標を公式文書に明記
②世界で取り組むための資金:先進国から途上国への資金支援の議論の強化
③パリ協定第6条実施のためのルールの整備:途上国支援の排出削減枠の一部が削減分としてカウント
④目標の宣言:各国リーダーの宣言と多様な有志連合による宣言
現在、各国の削減目標を足し合わせても1.5℃には不十分なのですが石炭、自動車、森林などの有志連合の自発的な声明がすべて実現すれば
2.0℃を下回る可能性が見えてきました。
気候変動対策に対する各国の思想
COP26での宣言をもとに、各国は一気に脱炭素社会の実現に向けての努力を加速していく事になりました。
各産業においても脱炭素をキーワードにした一企業に求められる努力は、一年前とは比べ物にならないものになっていくでしょう。
そしてそれは、各国各地域の思惑と重なり、脱炭素時代の新たな競争を生み出していくことになっていくでしょう。
欧州の思惑
再生可能エネルギー比率が既に高い欧州は石炭火力の徹底排除をはじめ、既に強い産業となっている洋上風力で世界市場を狙っている。またEVをはじめとする蓄電池でも主導権を握ろうと欧州企業に限らず、他国企業も補助や優遇措置で域内に積極誘致。欧州を蓄電池の生産拠点にするという構想を着実に進めている。
米国の思惑
国際環境対策へのコミット面とを疑問視されたトランプ政策を覆し、COP26においても世界の二酸化炭素の排出量シェアの最も大きい二国である
アメリカと中国は共同声明を発表し、アメリカが世界の環境対策の舞台裏へ復活し、環境対策でも強いリーダーシップを発揮していく事を示している。
国内におけるインフラ政策においても環境問題に対応した大規模なアップグレードを実施していく法案を可決するなど、
スピード感を持った施策によって他国への影響も強めていく姿勢を示している。
中国の思惑
太陽光発電・風力発電の導入量、太陽光パネルの製造量は世界一。太陽光パネル/風力/原子力の3本柱、そして世界最大の自動車市場をもって存在感を強めたい考え。
但しひっ迫する電力危機や石炭を輸入依存している背景もあり、脱炭素・気候変動対策には本音はNOのところも。
またCOP26においても、自国の都合に合わせて「途上国」という立場も取っている。
日本の思惑
グリーン成長戦略を打ち出し、脱炭素を実現しながらコロナ禍からの経済復興・成長をしていくという方針を示している。
但し、風力発電や水素などは現状イノベーション頼みであり、2030年までは省エネ、太陽光、原子力、電化が実質的な柱となる気配。
ただ、国としても予算措置や規制、金融枠組みによる包括的な支援を実施し、民間企業の積極的な取り組みと成長を促し、
経済成長と環境の好循環を構築する姿勢を示している。
「脱炭素」は新たな競争市場へ
気候変動に対する取組として脱炭素は加速していくでしょう。各国の思惑と事情が重なり脱炭素は新たな競争市場へと変容していく事が予測されます。
これは「国益」をかけた新たな「産業革命」と捉える視点もあります。
2021年には一気に「脱炭素」という言葉が浸透したように思います。これから2020年代後半のに向けて様々な変化が起きていくでしょう。
今からどのような取り組みで2030年に向かうのか、待ったなしの時期がきているのかもしれません。
次回:「脱炭素」が与える中小企業への影響は?① を予定。